梅まつりハイキン句会レポ(俳句披講編)
2014年02月21日UPさてさて、梅まつりを満喫した私たち。流鏑馬が行われたこの田んぼみちをと通って、句会会場となる小田原・旧三福へ向かいます。
旧三福に到着してからラストスパートで作句をし、えいや!と投句(俳句を提出すること)をします。自分の俳号(ペンネーム)は書かずに短冊に俳句だけ書いて、見えないように折りたたんで、手前のお盆にどんどん投句。この日は合計44句も投句されました!わーすごい!
投句が終わったら、清記をして、投句された俳句を丁寧に書き写し、その清記用紙をもとにみんなで選句をします。ここで初めてみんなの句をよむことになるんです。じっくり時間をかけて、それぞれ好きな句を選んで選句をして選評まできちんとやるのが大事で、どの句がよかったか言い合っていろんな人の解釈と作者の意図をやり取りする、それが句会の一番の醍醐味だと思います。
それでは、梅まつりハイキン句会の俳句を高得点句から順に披講していきますよ!今回の特選はなんとハンモック研究会の椿(ちゅん)さんでしたー!おめでとう!
【俳句披講】
特選(7点) 遠足の列散り散りに梅の中 椿
準特選(6点) 梅林の奥へをんなが手を引いて 上田道草
準特選(6点) 白梅の幾重のさきに青く空咲く お稲荷
3位(5点) ひとつだけひとりでいたい恋椿 翠柑
4位(4点) 前髪を気にして歩くバレンタイン 阿良々木暦
5位(3点)
下萌やガリバーのごと横たはる 上田 道草
花満ちて頃合いのがす梅だより 横森ハミング
舞台袖ほったらかしの太鼓かな くらら
雪解けの雲さらさらと頬を撫で お稲荷
俳句詠むふりして僕ちょっと寝る 阿良々木暦
風光る透かす瞼や夜に託す 杏仁
空の青はじけるぱらり梅ぱらり くらら
曽我山を隠すもひそり梅のはな 鉄鍋
富士山のロングスカート穿いており くらら
6位(2点)
雪かいてのぞく去年のクロッカス 椿
青空を抱へるやうに梅が枝 上田 道草
梅干しの歌より強く深呼吸 横森ハミング
西陽と待つ間に梅の花開く 鉄鍋
残雪が消える暇に映す白梅 お稲荷
レンズの向こうに早春のインディアンサマー 鉄鍋
振り出しに戻った日は梅園 翠柑
梅ほころび悪寒こえてもなお余寒 鮎
晴天にのぼる剣や枝垂れ梅 杏仁
7位(1点)
ふりむけばもう忘れてる梅の香 横森ハミング
空腹と朝日で目覚めニラ炒め 鮎
梅白く霞みて見下ろす浮世かな 椿
泣いてるの?ちがうのこれは杉花粉 阿良々木暦
他
雪溶けて梅やこんこん降りつもる 椿
ようようと梅の宴や四つんばい 翠柑
ほつほつと心とツボミほぐれてく ぷりん
梅の香の中ゆらゆらと笛の風邪 横森ハミング
春じゃなくても梅しおポテト梅わかめ 原へ梨
青天に不撓不屈の銀露梅 美ら海
小田原に梅香る郷あふけば富士 上田 道草
富士の山残雪梅の香早春の白 ぷりん
芳しいまあるい蕾ふくふくと ぷりん
白梅の向こうにアッカンベー少女 上田 道草
チョコの香に忘れた想いさえかえるあの日に 鮎
春泥にとられて嬉し逸る我 杏仁
春は来ず東海道を南下せよ 原へ梨
音だけがおいてけぼりの梅まつり くらら
雪解けてAh小田原春の陣 美ら海
みちのみちみちののみちうめのみち 原へ梨
まるいまるいと言って笑って梅 翠柑
以上でした!みなさまお疲れ様でした!ナイス句会でしたね、本当に!
【選評】上田道草さんからの選評やみなさんの選評を交えてお伝えします。
特選に選ばれた遠足の句は、実は春の季語が遠足と梅と2つ入ってしまっているのですがこの場合は全然OKで、遠足も梅もこの句には必要な要素だし、桜の木だったら整然とまっすく並んでいるけど、梅の木は枝振りも低く剪定されてて整然と並んでいるわけではないから、遠足に来た子供たちは梅園にはいるとそれこそ散り散りに駆け回っていってしまって先生たちは大変だろうなあなんて、梅の木ならではの情景が浮かぶ特選にふさわしい句でした。
そして準特選のをんなの句、私(翠柑)も2点を入れた一番好きな句だったりするのですが、サスペンスのような危うさ、奥へ手を引くのがをんなであるという、ミステリアスであり梅林が醸す不思議なエロスを言葉にした秀逸な句だと思いました。梅は香りが強いから、奥へ奥へと引き込まれていく感じ、惑わされてみたい、なんかもういろんな想像が膨らんでしまいますね。
もう一つの準特選句、幾重に重なった白梅と素晴らしい青天だったこの日だからこその句で、みんなが見たこの景色、胸にとめておきたい風景をきれいに言葉にされているなあと思いました。普段空を見上げることなんて少なくなっているかもしれないけど、青天の梅の里では梅の白とのコントラストで空がこんなに青くてきれいなんだって感じますよ。ぜひ来たことない人には見てほしいなあ。
3位の句はわたくし(翠柑)の句でした!えへ、うれしい。どうして恋椿なのにひとりでいたいんだろう?って言われましたが、恋椿だからひとりでいたいんだと思います。椿は色の濃い緑のはっぱに真紅のはなを咲かせていますが、たくさんの椿が咲いているなかで、それぞれのタイミングでしなびては急にぼとっと地面に落ちてしまう。しなびた椿をみながら、私をしっかり見てほしいっていう声が聞こえてきました。椿のプライドの高さというか。ひとつだけひとりでいたいをひらがなにすることで恋椿の濃さがぐっと出るねって言ってもらえました。自分でも気に入っている句に入ってうれしい!
そして4位の句、バレンタイン、女子の読み手はそわそわした少年の気持ちを思いました。でも男子の読み手は前髪を気にしながらも颯爽と歩く告白前の女の子を想像してかっちょええ!と思ったそうです。読み手によって全然ちがうとらえ方なのもおもしろいし、この句のちょっとくすっと微笑ましいところが私も大好きであります。
高得点句は以上ですが、私が気に入っている句とそうかあと思った句をご紹介。下萌えのガリバーのごと横たわる 上田道草 の句、みんなの評を聞いてはっとしました。梅の花が咲いている下は緑が生い茂っていて春爛漫だったんです。寝転がってみて地面から梅の木を見ると地面はすっかり春で、その春が梅の花を咲かせているんだなあと実感できました。それから、舞台袖ほったらかしの太鼓かな くらら この句はどうでもいいことでも俳句にするとなんか日常の記憶に残るというか、くだらないことどうでもいいこともくすっとなりながらも思い出として残るのが、俳句の面白いところなんだって聞いて、うんそうだなあ!と思いました。
他にもたくさん評をおつたえしたいけど、長くなってしまうのでこの辺で。まだまだみなさんと俳句の話したいなあ。俳句はやっぱりおもしろい。よんだひと、その人自身をよく表しているし、意外な一面が出たり、自分の吐き出したかったことが言葉になったり、人が好きになるし、すべてのことが愛おしくなる。もっと良い句を読みたいし、よませたいし、うわあ良い句だなあっていう句に出会いたい、そしてそれを大事に胸にあたためて生きていきたい。みなさん、またやりましょうね!蒙昧の会&ハミダシツーリズムのみなさま、参加された方々本当にありがとうございました~!
梅まつりハイキン句会の写真をウェブアルバムにアップしました!こちらからご覧いただけます。